みそ誌

刺繍と絵画の二人組-misomiso-がお送りします

コーネルの箱

DIC川村記念美術館の「ジョゼフ・コーネル コラージュ&モンタージュ」展を鑑賞した。

 

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ジョゼフ・コーネル 《鳥たちの天空航法》

出展:DIC川村記念美術館

 

コーネルの箱作品は好きだったんだけれど、まとまった数の作品を一度に観る機会はなかった。今回の展覧会は展示会場の一室に20点程はあったろうか、日本中から多くの箱、他にもコラージュ作品や手記、手紙、映像作品までを集めた、ファンとしては嬉しい内容だ。

 

コーネルの箱からはプライベートな印象を受けるが、それとは逆に多くの人々に共通する記憶を刺激するような間口の広さも持ち合わせている。この箱はともすれば作家自身の思い出を綴る日記にもなり得たと思うが、コーネルが見つめていたのは日常の彼方ー記憶の奥底にある小さな宇宙だったのだろう。私的日常的に収集した数々のモチーフを組み合わせることで作者自身と切り離せない、そして同時に他の誰もが「自身と切り離せない」と感じるようなイメージを生み出している。

 

 

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鳥を好んだコーネルも喜ぶだろうか。美術館の前には大きな池があり水鳥たちがぷかぷかと浮かんだり野原で羽の手入れに勤しんでいる。白鳥の雛が母鳥の後ろについて泳ぐ姿が愛くるしかった。

 

 

 

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ちなみにカタログが素敵。3種類のデザインから選べるという凝った仕様です。作品画像の豊富な日本語書籍って探してもなかなか見つからないのです。届くのがたのしみだな。

 

(そ)

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みそみその刺繍作品を販売中です。よろしければご覧くださいね。

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ゲームと思い出

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スーパードンキーコングを初めてプレイした時の驚きを今も覚えている。スーパーマリオの世界に比べて圧倒的に滑らかで奥行きのある画面に興奮した。しかしあの気持ちは音への驚きも含んでいたのだなあと久々にプレイしてハッとする。アンビエントな音楽の彼方に聞こえる動物の声、虫の羽音にドンキーの足音。夏休みに野山で遊んだ記憶と自分の中で混ざっているのがおもしろい。

 

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ポケットモンスターって知ってる?、、と仲のいい友人が教えてくれた。彼はとても賢く控えめな少年で、僕らは狭っ苦しい団地に住んでおり彼はウサギを飼っていた。火を吐く怪獣がパッケージのレッドバージョンを彼が持っていたので、僕は潰れたカエルが描かれたグリーンバージョンを手に入れた。二人だけでプレイしていたそのゲームは団地の友だちに広まり、瞬く間に日本中の小学生がプレイすることになる。僕の内気な友人の家が日本中の流行の発信源だったことを僕だけが知っている。

 

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小学生高学年に差し掛かった頃か。よく遊んでくれる中学生がいた。彼は髪が長く白い肌をしたゲーマーで、家にはたくさんのゲームがあった。薄暗い部屋でゲームセンターにあるようなスティックの付いた特殊なコントローラで格闘ゲームに興じた。スマブラにはないアングラな大人の世界を感じたことを覚えている。

 

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先日、レトロゲームをプレイして地域交流するという趣旨のイベントに参加した。区民センターの一室に所狭しとゲームや漫画が置かれている。僕が着いた頃にはもう夕方だったが近所の小学生たちがファミコンの野球ゲームを楽しんでいた。大人の参加者はオタクな雰囲気でほどほどに和気藹々。同じ部屋にいながら思い思いにゲームをして漫画を読んで、少しだけ交流して、、不思議な空間だった。子どもたちはこの場所のことをどのように思い出すんだろか。

 

(そ)

 

江古田で美味しいイスラエル

メリークリスマス、みそみそのそです。

 

東京に江古田という街があります。僕がはじめてこの街の名前を知ったのは山崎まさよしの「江古田」という曲でした。素朴なギターのアルペジオとドラムをバックに、ボーカルとストリングスの旋律が綺麗に絡み合う大好きな曲です。

 

昨晩はそんな微妙に思い入れのある江古田の街を散歩して、イスラエル料理店「シャマイム」に行ってきました。駅前の路地にある古ビル、その階段を上った二階の青い扉を開けて入ると中は案外広く(40席くらいだったかな?)、青く塗られた天井が開放的な印象のお店でした。ヘブライ語のシャマイムは青空という意味だそうです。

 

セットメニューもありますが初来店者にオススメのコースを注文しました。

最初はヒヨコ豆のトマトスープ。スパイスが効いていてヒヨコ豆がほくほくで身体が温まります。

 

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次にフムスと5種類の小皿に唐辛子ペースト、チキンカツとヒヨコ豆のコロッケ、そしてピタパンとフライドポテトが続々と運ばれてきます。ピタパン(袋状のナンみたいな、、要はケバブサンドのパンです)に何でもかんでも挟んで食べるというスタイルです。

フムスはヒヨコ豆をペーストにしたもので中東料理のお店にいくとだいたいありますね。スパイスが効いていてさっぱりとしています。僕はマヨネーズが苦手なので、世の中のマヨネーズはすべてフムスに置き換わってほしいと願っているよ。。

とくに気に入ったのはヒヨコ豆のコロッケ=ファラフェルです。カリッとした食感です。中身が緑色だったのは何が入ってたんだろう。。?そのままでもピタパンに挟んでも美味しいです。

 

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最後はシシカバブのセット。マジャドライス(レンズ豆を混ぜたサフランライス)とその上にラムとチキンの串焼きが乗っています。肉類も絶品なのですが、マジャドライスがものすごく好みでした。パサっとしたライスの中にレンズ豆の固い食感が楽しいです。豆、最高。

 

この盛りだくさんのコース(2400円でした)はそれだけで大満足なのですが、なんと肉もライスもピタパンも提供されるものすべてがお代わり自由なんです。もう満腹。。と思っているとクリスマスサービスでハーブチキンをいただきました。もうほんとに満腹。。!

 

(そ)

京都帰省-Meditationsからコトバトフクへ-

どうも、みそみそのみです。そろそろ衣替えの時期ですね。秋冬の服を着られると思うとわくわくします。

 

先週の3連休に、京都へ帰省していました。帰省1日目は京都、2日目は大阪でいくつか面白い場所へ行ってきましたので、2回に分けて書いてみたいと思います。今回は1日目に行った京都のお店についてです。

 

前日からの雨で蒸し暑い中、まずはお気に入りのCD・レコードショップ「Meditations」へ。Meditationsはアンビエント、ドローン、サイケデリックインド音楽などを中心に置いているお店です。最近京都帰省の度に訪れていて、個人的聖地となりつつあります。

京阪出町柳駅から徒歩20分、てくてく歩きます。本当は神宮丸太町からの方が近いのですが(徒歩10分弱)、特急の停まる出町柳の方が便利なので、散歩も兼ねてずんずん歩いていきます。河原町通りを下って行くと、右手にMeditationsの入っているビルがあります。この看板が目印です。

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ビルの3階にお店はあります。お店の前はこんな感じになっていて、植物が若干の異国感を醸しています。ちなみに店内には天井に届くぐらい大きなサボテンがあるので要チェックです。

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店内はそれほど広くないですが、CD・レコードをはじめ、カセットテープ、お香、インド哲学系の本なども置いてあっておもしろいですよ。

今回はアンビエント系の以下4つのCDを購入しました。一通りさらっと聴きましたが、どれもはずれなしで素晴らしいです。別の機会に感想なども書いてみます。

・Inoyamaland - collecting net

・GAS - Rausch

・Robert Haigh - strange and secret things

・H.Takahashi - Low Power

普段はネットでCDを買うことが多く、更にはストリーミングサービスで音楽を聴くこともあり、実店舗へ赴く機会は減ってきていますが、そんな中でもMeditationsは自分の足で訪れたくなる魅力があります。ここに行けば良い音楽と出会える、自分の世界を少し広げてくれる、そんな信頼があります。東京にもこんなお店があったらぜひ教えてください。

 

次は三条まで下って「コトバトフク」へ行ってきました。三条寺町の「かに道楽」の近くにあります。Meditationsから徒歩15分ぐらいです。ビルの入口に看板が出ています。

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「コトバトフク」は日本の若手デザイナーの服や、ファッションに関する書籍を取り扱うセレクトショップです。お店に入ると、たまたま他のお客さんがいなかったこともあり、店員さんが丁寧に服の作り手や背景について教えてくださいました。店員さんの服への愛がめちゃくちゃ伝わってきて、いろいろ欲しくなってしまいます。でもそんな簡単にほいほい買える値段ではないです。。。だいぶ悩んだ末に、ちょうど店内で2019春夏受注会を行われていたTOMOUMI ONOさんのシャツを注文することにしました。

www.instagram.com

小さめの襟と背中のプリーツに惹かれました。実際に手元に届くのはまだ先ですが、手持ちの服とどうやって合わせよう??と今から想像がもりもり膨らみます。

 

Meditationsもコトバトフクも結構長居してしまいましたので、1日目の京都歩きはこれにて終了です。よく歩いた1日でした。今度大阪編も書きますね~。

 

(み)

 

モネ それから チャイナタウン

涼しくなってきましたね、みそみそのそです。

 

先日、横浜美術館の『モネ それからの100年』展に行ってきました。タイトルの通り、モネと彼に影響を受けた芸術家たちの作品が並ぶ展覧会です。モネ以外の印象派作家が展示されておらず、そうすることで展示の意図がすっきり分かって気持ちの良い展示でした。

 

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面白いと感じた作家を何名かご紹介すると、、 

 

・ルイ・カーヌ

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出展:Louis Cane, artiste peintre – Le site officiel

枠に張られた金網の上にカラフルな絵の具をボンボンと塗りたくった作品。セロハンのような透明感のある絵の具が金網越しに壁に影を落としていて、視線が金網の前後を往還する楽しさがありました。絵が表面に浮いてることや絵の具の物質感を再確認。彼はフランスのSupport/Surface(支持体/表面)という「もの派」的なグループの作家で、思索的ながらポップな雰囲気がなかなか好みです。ウェブサイトがかわいい。

 

 

・湯浅克俊

出典:Katsutoshi Yuasa Official Site

普通の街の普通の岸辺をサイケでドープな雰囲気(?)に加工した写真作品、かと思いきや木版画だったので驚きました。何層にも重なるざらついた色彩が観る人の眼で混ざります。制作動画もすばらしいね。

 

・小野耕石

床一面に横たわる巨大なシルクスクリーン作品。金網を貼り付けたように見える不思議なテクスチャで見る角度によって色彩がずいぶん変わります。昆虫の構造色みたいな感じかな〜、なんて思いながらウェブサイトを覗くと蝉の抜け殻に版画を移植するというクレイジーな作品が、、

 

 

 

てな感じでモネを起点に新しい作家を知ることができるとってもいい展覧会でした。印象派をやるときはもう全部この現代美術抱き合わせ形式にしようよね。

 

 

 

 

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帰り道。細野晴臣が演奏していた同發新館に寄って杏仁アイスを食べました。友人がダビングした映像を観せてくれましたがあれは羨ましいライブだったな〜。

 

(そ)

あなたと一緒に働きたい

はじめまして、みそみそのみです。

 

みそみその2人で交代でブログを書くことになりました。今まで日記って続いたためしがないんですが、こういう公開された場所で、しかも2人で順番に書くっていう設定だと、多少やる気も出そうな気がしています。

 

ブログといえば、私はバカリズムさんの「架空OL日記」(元ブログは架空升野日記ですね)が好きです。バカリズムさんが銀行勤めのOLになりすまし、同僚や友人との日常を綴ったブログです。

くすっと笑えるというのももちろん好きなポイントですが、女性たちがおなじみのメンバーで笑ったり怒ったり、平凡な日常を暮らしている描写がめちゃくちゃ良いんです。仕事が終わったら仲の良い同僚とご飯を食べに行く、皆で上司の悪口を言う、また別の日には同僚とジムに行く、体重計に乗ろうと言われるも嫌がる……。こういう日常ってその辺に転がっていそうですけど、簡単には手に入らないんですよね。(少なくとも私にとっては。)登場人物たちのこの時間がいつまでも続けばいいな、でもいつまでも変わらない関係なんてないよなぁ、などと思ったりして、笑いながら胸の奥がキュッとなる感覚が好きです。

同じ理由で朝ドラ「ひよっこ」の乙女寮編もお気に入りです。

 

「架空OL日記」は書籍化、TVドラマ化などされていますが、特にドラマがおすすめです。バカリズムさんが主人公のOL役を演じていますが、同僚の女性たちにすごく馴染んでいてなんの違和感もないんです。音楽も良いです。

 

 

ちなみに「酒木さんが『マツキヨ』のことを絶対に『マツモトキヨシ』と言う」話がお気に入りです。

 

どうでもいい話ですが、私は自分でも思った以上にOLとして働くバカリズムさんが気に入ったようで、バカリズムさんと自分の会社で一緒に働いている夢を見ました。パーカーを着ていてすごくプログラマっぽかったです。

 

(み)

シェーカーチェア

はじめまして、みそみそのそです。

 

皆さんはお気に入りの椅子はありますか?僕は今まであり合わせのパイプ椅子に座っていたのですが、長く付き合っていけるものが欲しいとずっと思っていたんです。

 

頭に思い描いていたのは素朴な木の椅子。学生の頃、美術部室にあった編み込み座面の椅子がお気に入りでした。

 

大塚家具やアクタスで既製品を一通り眺めましたがなかなかピンと来るものがない。ただ沢山ある椅子の中で僕の理想に近かったのはシェーカーチェアです。その名の通りキリスト教の一派であるシェーカーたちの椅子を源流としています。無駄のない簡素で美しい造り、ペーパーコードで編まれた座面の温かみに惹かれ、同系統の椅子を作っている国内作家を探して見つけたのが坂野原也さんの工房GenyaWoodWorksでした。

 

武蔵村山の工房まで伺い作ってもらった椅子がこちらです。

 

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デザインはボーエ・モーエンセンのシェーカーチェアをベースに改良を加えたという感じでしょうか。背もたれが丸みを帯びていてさらさらとした木の感触が心地よい。木材は強度と質感について相談した上でナラの木にオイル仕上げを選びました。背もたれの接ぎ合せの箇所にはウォルナットが使われています。

 

採寸をしてもらったので高さもぴったり。ちなみにだいたいの人は高すぎる椅子に座って、腿の裏が圧迫されているらしいですよ。僕の場合は45cm(モーエンセンの高さ)では高すぎたので42cmまで下げてもらいました。こういった細やかな調整が効くのはオーダーメイドの強みですね。

 

坂野さんが「古く使い込まれた木の椅子は身体の当たるところが擦れてどれも真っ黒になりますよ」と語っていたのが印象的でした。完成直後のこの椅子は明るい木肌ですが真っ黒になるまで大切に使い込んでいきたいものです。

 

(そ)